第10話 値切るが勝ち
[1982年11月 ヤンシュオ(陽朔)]
観光地にはたくさんの人が来ているが、その殆どが自分たちも含めて外国人だ。国内の人にとっては優雅に観光をする余裕などはまだないのだろう。もちろん地元の人たちもたくさん見かけるが、彼らは観光客目当ての土産物売りたちだ。
赤土の道路や通路脇にシートを敷いて土産物を並べている。手にはお薦め品なのか商品を持ってしきりに何やら話しかけてくる。通じるはずもない中国語で。
日本人は外国人に対して日本語でこれだけ話しかけることはないが、通じるかどうかなど気にすることもなく捲したててくる。振り切っても次から次へとやって来る。気に入ったものを見つけて値段を聞く。値段の書いてあるものはない。
相手の提示した価格を値切ると最初は当然のように嫌がるのだが、粘っていると下がるわ下がるわどんどん下がる。半額などは当たり前、最終的には三分の一から五分の一くらいにまでなることも。半値八掛け二割引だ(笑) 最初の値段は何やったんや!?
何ちゅう商売や。交渉しないと損であることを学んだ。