第12話 笑顔のない接客
[1982年11月 グィリン(桂林)]
夕方 食事前にホテルの近くにある百貨店へ行ってみた。百貨店とは言うものの日本のそれとは程遠い。照明は暗く品数も華やかさもない。
一緒に行った人が何かを買ったが、いらっしゃいませの言葉も何かを買わそうとする接客もない。支払いが終わってもありがとうの言葉もない。
いや、あったのかも!? このあとに現地のガイドさんから広東語なる中国語があることを教えてもらった。ありがとうなら謝謝 (シェィシェィ) と聞こえてくると思っていたのがそうではなかったのだ。広東語のありがとう である多謝 (トウチェ) もしくは 唔該 (ンゴィ) と言ったのだろうか? いや、言葉を発した記憶がない。今なら少しの広東語は分かるのだが (笑)。
それにしても店員に笑顔がまったくなかったのには驚いた。日本の客商売では考えられないことだ。