第17話 香港出国
[1982年11月 ホンコン(香港)]
香港出国時には例によって所持品検査。ここでこの旅最後の試練が待っていた。カメラ用のハードケースに目をつけられた。検査官が、ケースを開けてカメラを取り出す。レンズを外してカメラとレンズの中身を覗き込む。交換レンズは１本ずつ取り出し、キャップを外してやはり覗き込む。中身をくり抜いて白い粉か葉っぱでも詰めていないか確認しているのだろう。傷つけられないかとヒヤヒヤした。そしてレンズ等検査が終わったものはケースに戻さずに次々と目の前のテーブルの上に置いていく。
とうとうケースは空になった。と、ケースの蓋や底、側面を内側から指でコンコンと叩いていく。上げ底ではないことを確認しているのだ。ここまでするか〜！ かなりの時間を要して無事終了。こちらの怒りは頂点を通り越している。OK と言って出したものを適当に入れようとする。待て！ 入れ方は決まっている。キチンと入れないと入らないし傷がつく。自分で入れるから触るな！
相手はこれが仕事だから仕方がないのだが、まるで何かの犯人か容疑者扱いされているような初めての経験の為 思わず怒鳴ってしまった。後ろには検査の順番待ちの長い行列が出来ている。早くしろと検査官。うるさい！お前が出したんやろ！と最後の口論。わざと時間をかけて、ゆっくり、丁寧にケースに戻してやった (笑)。
