tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第24話 インド人街での昼食

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シンガポールのバス通り

 

[1988年7月 シンガポール]

 

 昼飯の時間。観光客などが行くような店には入りたくない。現地の人が行く庶民的な安そうなところを探す。シンガポールは、マレー系、中国系、インド系、アラブ系… とたくさんの人種が混在する多民族国家である。たまたまその時間にいたのはインド人街のあたりだったようだ。失礼ながらキレイとは言い難い一軒のカレー屋を見つけた。巻きスカートのようなものを腰に巻いたインド系とおぼしき2人の男が店を入ったところに立っている。安そうだ、面白そうだ、ここにしよう。 即決!

 

 店に入ると即座に、どれにする? といきなり ぶっきらぼうに声をかけられた。ん? 座ってから注文するのではないのか? 店を入ったところに直径70cmくらいの大きな鍋が4個並んでいる。1つ目は白米、2つ目は炊き込みご飯、3つ目にはよく炊き込まれて味が染み込んでいそうな鶏のもも肉、そして4つ目にはカレーが入っている。まず、ご飯はどっちにするのか?  鶏肉は要るのか要らないのか?  注文はこれだけである。そして選んだものに1種類しかないカレーをかけて出てくるという単純明快メニュー、言葉の分からない外国人でも迷わずに注文できるだろう。インド風ファストフードといったところか。炊き込みご飯+鶏肉を注文して店の奥のテーブルに座って待つ。

 

 待っていると飲み物は?と。日本のようにタダの水やお茶が出てくるわけではない。何か注文をしなければ飲み物はなしということになる。暑いしビールでも飲みたいところだが午後の仕事がある。ペプシコーラを注文した。出てきたご飯は学生街の大盛りかと思うほどの量であった。全部まとめて約380円。安っ! そして鶏肉は味がよく染み込んでいて柔らかく美味かった。

 

 昼時にもかかわらず客は5人程度。奥の席にしたのは失敗だった。暑いところにもかかわらず入り口全開でクーラーはなし。銭湯の天井にあるような扇風機が天井でゆっくりとくるくる回っているだけだ。風通しの悪い奥の座席で辛いカレー、汗だくになったのは言うまでもない。入り口近くの席に座っている3人ほどの客はインド系。外からの風が入って少しは涼しいのだろう。

 

 この時は後輩が同行しており、店の中に外国人(と思しき者)は我々2人のみ。先にも記した通り多民族国家なので我々が外国人と見えたかどうかは分からないが、インド系人種以外がいることが珍しいのか、何でお前らのような人間がここにいるのか?というような視線を浴びていた。顔立ちは中国系と似たようなものであろうが、服装などで現地人でないことは分かっただろう。