tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第50話 偽札疑惑

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運河と水上生活者の家(船) オランダ

 

[1991年4月 オランダ]

 

 2002年に新通貨ユーロが流通するまで、ギルダーというのがオランダでの通貨単位であった。紙幣は、10, 25, 50, 100, 250, 1000 ギルダーが存在していたが、一般に市場に出回っていたのは100ギルダーまでだろう。それ以上は手にしたことはもちろん見たこともない。当時 1ギルダーは約70円なので、250ギルダー¥17,5001000ギルダーとなると¥70,000紙幣という高額紙幣だ。

 

 街の商店で買い物をした時、細かいのがなく 100ギルダー(¥7,000)で支払いをした。日本なら1万札を出しても疑うこともなくすぐにお釣りが出てくるが、ここではそういう訳にはいかなかった。まず、手渡した時点で少し嫌な顔をされた。そして受け取った紙幣を両手で広げてじっくり見る。それを上にかざして透かしなどを確認している。紙幣を指先でパチパチと弾く。挙げ句の果てに、ちょっと待って と言って店の奥へと入って行った。数分して戻ってくると、ようやくお釣りを渡してくれた。

 

 日本では経験したことがないので、まるで偽札を持ち込んだ悪人のように思われているのかと少々腹が立ったが、先方にそういう意識は全くない。高額紙幣を受取った時の当然の対処なのだ。これを知っている市民は高額紙幣を持ち歩かないし、使用しない。偽札が多いこの土地では慎重すぎるくらい慎重に確認してからでないとお釣りを渡さないのだ。騙されると損をするのは受取った側なのだから。この出来事から30年ほど経つが日本では未だ経験がない。日本人は他人を信用しすぎるのか?

 人を見たら泥棒と思え… !?!?

 

 ギルダーの補助通貨にセントがある。1/2, 1, 2.5, 5, 10, 25セント硬貨があるが、これも10セント以下はほとんど流通していない。なぜなら商品の価格は10セント単位までしかないからだ。10セント硬貨は直径1.5cm と小さくて薄い硬貨だ。ちなみに日本の一円玉が直径2cm

 

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 商店で隣にいた老人が、セロテープに何枚か貼り付けた10セント硬貨を一枚ずつ剥がして支払っていた。剥がした後もとても小さいので扱いづらそうだった。これを見て、失礼ながら笑ってしまった。老人も笑いながら、こうでもしないと小さいからすぐに失くなるんだよ、何でこんな扱いづらい小さなものを作るのかねと愚痴をこぼしていた。