第57話 ここは外国ですよ
[1991年7月 ハワイ]
滞在中のメインイベント、会社創立80周年記念パーティーがオアフ島 (Oahu Island)北部にあるサーファーに人気のノースショア (North Shore)、タートル・ベイ (Turtle Bay)で行われた。400人が野外で集うという壮大なものであった。
好きなものを飲んで、食べて、ポリネシアンダンスなどのショーなどを見てとパーティーの内容そのものは特筆するようなものはない。社長の挨拶が、ちょうど太陽が西の水平線に吸い込まれて行くのと重なり、写真を撮りに行っていた自分は社長の言葉を全く覚えていない... というか聞いていない、いやその場にいなかった。社長、すみません(笑)。パーティーが終わり何台かのバスに分乗してホテルに戻る。
ホテルに戻ってもまだ飲み足りない。洋の東西を問わず、酒が入れば人間同じ。何人かの酒好きがロス支店のスタッフの部屋に集まり飲み始める。自分ももちろん参加している。夜も更け、一人減り、二人減り、四、五人の男が残った。アメリカ人が二、三人と日本人二人。(外へ) 飲みに行こうぜ！ 夜中の二時頃だ。短パンにビーチサンダルという格好で片手には缶ビールを持って砂浜をブラブラとワイキキの方へ歩き出す。海と道路の中間辺りの砂浜を歩いているのだが、波打ち際近くに肩を寄せ合うカップルらしきシルエットが見える。どう見ても日本人だ。
おいおい、甘い雰囲気に浸りたいのは分かるが、ここは外国ですよ。日本のように治安は良くないんですよ。夜中の二時に暗闇で女性連れ… 自分にはできない。後ろを我々酔っ払いの男たちが歩いてるんですよ。悪人だったらどうします？ 男一人を抑え込むことなど朝飯前、そのあとは… なんて悲劇が待っている可能性が日本より数段高いことを知ってください。これから海外へ行く人は絶対にやめてくださいよ。
そんなことを思いながらワイキキのディスコへ入ろうとするが、短パン、ビーチサンダルはお断りだと。ダメ元で数店行ったが全て入店拒否。当たり前か。仕方なくとぼとぼ歩いてホテルに戻りまた飲んだ。どれだけ飲むねん！
翌日は朝からテニスだというのに…
