tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第63話 3パイント(3 x 568ml)のビール

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トロント オンタリオ湖

 

[1994年7月 カナダ トロント]

 

 レコード屋? CD? CDを買ったり、CNタワーからブルージェイズ(Blue Jays) の本拠地スカイドーム(Sky Dome) の辺りをぶらつく。道路は碁盤の目に走っているので分かりやすい。すぐ南にはオンタリオ湖 (Lake Ontario)が真っ青な水を湛えている。火照った体に湖からの風が心地よい。水辺の公園で休息。目の前にあるセンター島の空港から小さな飛行機が飛び立っていった。

 

 特に変わったこともなく時間が過ぎ少し早めにホテルへ帰ることとする。明日は午前の便でパナマ (Panama)へ移動だ。地下鉄に乗り、エグリントン駅で下車。ここからまた1時間ほどかけてホテルへ歩く。午後四時頃だっただろう。夏の日差しはまだ暑い。歩き疲れて、一気にホテルまではたどり着けそうにない。と、その時行く手に一軒のパブを発見。アイリッシュパブ・マックマーフィーズ (Irish Pub McMurphy’s) と看板が出ている。

 

 大阪のミナミに アイリッシュパブマーフィーズ (Irish Pub Murphy’s) というのがあり当時はよく行っていた。似通った名前、ここへ寄ってから帰れと言っているようだ。ちょっと喉を潤してから帰ることにしよう。早い時間だが開いていた。客はカウンターに二人だけ。ビターを1パイント (568ml)注文し、カウンターに座る。ビールは一口目、乾いた喉が一気に潤い 疲れと汗がスーッと引いていくようだ。女性店員が話しかけてくる。

 

店員: トロントにはどれくらい住んでるの?

俺 : いやいや、住んでないですよ。三日前に日本から来たところ、明日パナマへ移動します。

店員: 三日? てっきり住んでるのかと思ったわ。何で英語喋れるの? パナマへ何しに行くの!?

 

 こんな会話をしていると、カウンターの奥に座っていた男性も会話に加わって他愛もない雑談に。ビールが残り少なくなり、これを飲み干せば帰ろうと思っていたら、女性店員が目の前に1パイントグラスを置いた。いやいや注文してないよ。すると、後から会話に加わった男性が、俺のおごりだ。遠い日本に友達ができた印だよ。と言って笑っている。お礼を言ってありがたく頂いた。しばらくすると男性が席を立った。

 

俺 : もう帰るんですか?

男性: そろそろ時間だからね。今から仕事なんだ。

俺 : 仕事前に飲んでも大丈夫なんですか?

男性: 俺もパブをやってるんで、そろそろ店に戻らないと。トロント最後の夜を楽しんでな。

俺 : ありがとうございます。ごちそうさまでした。

 

 男性は店を出て行った。女性店員と話をしたりして、2杯目がなくなりかけたので帰ろうとすると、またまたパイントグラスが目の前に。今度は何?

 

店員: もう1杯出してやれと彼が言い残して行ったのよ。

俺 : Oh boy! Many many many thanks!!!

 

 空きっ腹に3パイントのビール。ふらふらと歩いてホテルに帰るとベッドにバタン。目が覚めると夜の11時。わ〜っ、明日は8時には出発して空港へ向かわないといけないのに。晩飯は食っていない。ホテルのレストランは閉まっている。コンビニらしきものが一軒。が、パンは売り切れ、ポテトチップスのようなお菓子しかない。部屋へ帰ってポリポリ。空腹も少しは満たされたが、寂しいトロント最後の夜になってしまった。