tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第78話 公衆電話

小高い丘の上にあるレストランから見るドイツ プリーンの風景

 

[1997年6月 ドイツ プリーン]

 

 ミュンヘンからプリーンまでは列車で1時間くらいの乗車だ。例によって車内放送はない。検札に来た車掌にプリーンに到着する時は教えてくださいとお願いすると、次に停まるよと親切に教えてくれた。

 

 迎えに行くから、駅に着いたら電話をください。取引先からはそう言われていたので、駅前の公衆電話ボックスに入った。しかし、電話のかけ方が分からない。日本では携帯電話を使っているが、まだこの頃は海外で使用できるものではなかった為おいてきたか? 記憶が定かではない。教えてもらおうにも人がいない。どうしたものかと困っていると一人の女性が歩いて来た。

 

 電話番号が書かれた紙を見せて、ここへ電話したいのですがと伝えた。その横には住所も書いてある。すると女性はここへ行くの? 私の家のすぐ近所だから乗せて行ってあげるわとありがたいことを言ってくれるではないか。ご主人を駅まで送り届けて、今から帰宅するのだと言う。

 

 駐車場に停めてあるワンボックスカーの前で、さぁどうぞ乗ってくださいと後部座席のドアを開けるとそこにはセントバーナードのような大きな犬が乗っている。一瞬足がすくんだ。おとなしいから心配しなくていいわよ。恐る恐る大きな犬と同乗、目的地に着いた。見知らぬ土地で見知らぬ人のご厚意、本当にありがたい。感謝。

 

 事務所に入ると、取引先の担当者はどうやって来たの? とびっくり。事情を話すと、今回の出張は幸先のいいスタートだなと笑っていた。