第87話 サルダーナ
[1997年6月 スペイン バルセロナ]
土曜日の夕食後 旧市街地へ。夕食後とは前項で記した通り夕食が遅い時間なのでかなり遅い時間帯。14世紀に建設された城塞を起源とした石畳の街並みが続く。そのいたる所にストリートパフォーマーがいるのだが、ロックやポップス系はいなかったと記憶する。スパニッシュギターやクラシック系が多く街並みに合わせたかのように静かな曲が多い。
そんな中でひときわ印象深かったのが、サンタ・クレウ・イ・サンタ・エウラリア大聖堂 (La Catedral de la Santa Creu I Santa Eulàlia)の前で演奏されていたサルダーナと呼ばれる音楽だ。サルダーナという言葉は帰国後に知った。ストリートパフォーマーとは呼び難い大集団、楽団だ。
ひな壇の上で10-15人位が楽器を演奏し、その前では老若男女が大勢で手をつなぎ輪になって踊っている。夜の11時頃だったので暗くてよく見えなかったが、クラリネットを小さくしたような楽器が主旋律を奏でている。その独特の音色のマイナー音階の曲調が哀愁を漂わせ、大聖堂前の広場に響き渡る。雅楽に使われる篳篥(ひちりき)に似たような音かな!? 踊っている人たちは笑顔で楽しんでいる。カタロニア地方の伝統的な舞踊で、土曜の夜の恒例らしい。
この音が耳から離れず帰国後すぐにこの音源を探し、CDを手に入れた。後日トニにこのことを話すと わざわざCDを送ってくれた。ありがとうトニ!