第94話 国境はどこ？

オランダ アムステルダム

[1997年6月　ベルギー  アントワープ  =>  オランダ  アムステルダム]

　アントワープの取引先と、製品の様子や使用者の生の声を聞く為に彼らのディーラーや顧客を廻る。先述の通り小さな国なのでベルギーとオランダを担当してもらっている。

　オランダへ行く為に高速道路を走る。途中の国境にはサービスエリアのような場所が設置されている。例によってパスポートにスタンプを押して貰おうと建物の中に入るが、自由往来になったのだからとここでは押してはもらえなかった。

　アントワープからロッテルダムにかけては、海に近いところを走るので真っ平ら。もっとも、オランダは322m、ベルギーは693mがそれぞれの国の最高地点でありドイツ国境に近い南の方であるので、ここからは山など全く見えない。見渡す限り平面の土地が続いている。気に止めなければ、国境など何処にあるのか分からない。

　最後の訪問先を後に、再度高速道路に乗る。途中欧州最大と言われるロッテルダム港が見える。コンテナを積み下ろしするクレーンが無数に並んでいる。神戸や大阪とは規模が違う。自分が日本で手配した荷物はここで降ろされているのだ。

　この日の午後にはアムステルダムから英国のマンチェスターへ向かう予定だ。ロッテルダム駅まで送ってもらい、そこからアムステルダムまでは列車で移動する。アムステルダム スキポール空港まで行くと言ってくれたが、まだもう少し距離があるのと、列車に乗りたいという“鉄ちゃん”気質が働いた為である。オランダは世界一の自転車大国、列車にも自転車を持って乗り込んでくる。もちろんそれなりに設備はしっかりとしている。そんな列車に揺られスキポール駅 (現スキポール空港駅) に到着する。