第112話 フラメンコ
[1998年３月 スペイン バルセロナ]
初日の夜は、フラメンコのショーを見ながらの食事会となった。フラメンコを見るのは初めてだ。元来スペイン南部のアンダルシア地方のものであり、北東部のカタルーニャとはちょっと縁遠いが、今ではスペインということで全土に広がっているようだ。踊りは、想像していた以上にとても力強いものだった。
木製の舞台を踏み鳴らす力強いストンピング。その舞台のすぐ下で食事をしているのだが、埃が気になったのは自分だけだろうか？(笑) 知ってる人は知っている、バーボンハウス(昔大阪梅田に存在したライブハウス) の最前列を思い出した。そして、やはり踊りに目がいくが、演奏あっての踊りであり歌も入る。哀愁漂うギターのメロディー、どう動いているのか複雑な動きの右手指、よく通る歌声。すべての迫力に圧倒された。
店内は雰囲気を出す為か少し薄暗く、天井から裸電球が適度な間隔でぶら下がっているだけだ。ところが、えっ！ なに!? この裸電球の取り付け方は!? 日本では絶対に許可されないだろう。天井近くに針金が二本一組で張ってあり、双方に洗濯バサミのようなもので電球が接続されているのだ。つまり、針金は電気のプラスとマイナスの線。ここから電球に電気を送っているのだ。少し背の高い人であれば、この針金に触れることはできる。間違って触れれば220Vの電流が身体を走ることになるのだが… 大丈夫か？
