第168話 タバコは悪
[2005年10月 アメリカ シカゴ]
アメリカは早くから禁煙を厳しく呼びかけた国の一つである。レストラン、空港など屋内は禁煙、ホテルの宿泊料は喫煙室の方が禁煙室よりも高くなった。
シカゴ空港に到着後迎えの車を待っていた時、歩道脇にある大きな灰皿が目に入った。ここはタバコを吸ってもいい場所だと思いタバコを取り出した。が、ライターがない。日本を出国する際にライターは没収されていたからだ。9.11, アメリカ同時多発テロの後機内への持ち込み品が非常に厳しくなり危険物とみなされるものはすべて没収されるようになった。
周りに人影はない。と、一人の女性が歩いて来た。ぼっちゃりとしたいかにも白人中年女性という体型だ。無理だとは思いながらも、タバコを吸いたいのですがライターをお持ちではないですか?と尋ねると「タバコは体に毒です。そんなものは早くやめた方がいいですよ。」と説教を食らう羽目に。いやはや大きなお世話だ。あんたの体型も身体に悪いで、ダイエットしなさい、とは言ってないがそう返してやりたかった。持っていない、だけでエエやないの。思ったことをはっきりと口にする。アメリカやな~
夕食は、ホテル近くのレストランへ。遅い時間だし、簡単に済ませて翌日の打ち合わせに備えよう。レストランはほとんどが禁煙だし、タバコも持って行かなかった。入店するとウェイトレスが、喫煙席ですか?禁煙席ですか?と聞いてくる。えっ?喫煙席があるの? タバコは持っていないが、一応喫煙席に案内された。
周りで紫煙が漂っているし、ビールを飲んでいるとタバコが欲しくなってくる。早くホテルに帰ろうと思うが、こういう雰囲気に少しは浸りたいという気にもなる。仕方がないので、ウェイトレスを呼びタバコはありますか?と尋ねた。“Yes, $8.” 8ドル(千円強)!? 当時吸っていたタバコは、日本では¥280ほどだった。“$8!? No, thanks.” 部屋へ帰るまで我慢することにした。