tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第207話 世界の屋根

世界一高いビル ブルジュ・ハリファ (829.8m) UAE, ドバイ

 

[2009年10月 UAE ドバイ]

 

 ドバイからの帰国便はエミレーツ (Emirates)航空。関西空港経由羽田空港行きである。エキゾチックな顔立ちの女性客室乗務員と機内サービスのよさは定評があり、最近は人気航空会社の一つとなっている。

 

 離陸後パキスタン上空からヒマラヤ山脈の北側を飛行し、中国を横断する。往路も同じような航路だったと思うが夜であったのと窓側ではなかったので景色は見えなかった。今回は右窓側だ。

 

 徐々に姿を現す世界の屋根、連なる山々の壮大な景色に圧倒された。世界最高峰のエベレストもどこかに見えているのだろうか? 富士山のような独立峰ではないのでどれか分からない。上から見ているとどれが一番高いのかも分からない。

 

 標高7,200m以上の山が100峰以上存在し、東西2,400kmにも及ぶ山脈。木も生えないむき出しの岩肌と白い万年雪が延々と続き、ここからでもその地の過酷さがうかがえる。生命の存在ををまったく感じることのできない光景だった。

 

第206話 紺碧の海

昔は漁村だったドバイの海 (UAE ドバイ)

 

[2009年10月 UAE ドバイ]

 

 アラブ首長国連邦ペルシャ湾に面している。ガーナへ行く時にはドバイを離陸後ペルシャ湾上空を飛んだが、カリブ海に負けず劣らず穏やかで綺麗な海だ。が、過去には戦火に見舞われた超危険地域だった。1980年から1988年まで続いたイランとイラクの間で起こった戦争、通称イライラ戦争だ。

 

 この湾に面する港、クウェートバーレーンなどへ出荷する時には海上保険は戦争による被害は別条件となっていて付保すると非常に高い保険料が必要だった。貨物船はそれを保証しないという条件。実際、自身が手配したクウェート向けの貨物船が砲撃を受け、船腹に穴が開いたこともあった。貨物は下ろしたあとだったので直接の被害はなかったが。その後 湾岸戦争も勃発した。

 

 そんなことを思いながらこの綺麗な海を見ていた。二度と再び戦争が起こらない、いや起こさないように願うばかりである。

 

第205話 砂漠の街

周りはどこも砂だらけ, UAE ドバイ

 

[2009年10月 UAE ドバイ]

 

 街の中心部は今やどこにでもあるようなビルが立ち並ぶ都会だが、やはり砂漠の中の街。道路、歩道、ビルの吹き溜まりなどには小さな砂粒が見られる。少し郊外へ行くと砂漠の中を真っ直ぐに道路が走っていてその脇の砂漠には野生のラクダを見ることもある。

 

 夕食後タクシーでホテルへ向かう。走行中同行者(日本人)がトイレへ行きたいと言い出した。ヤカンに入ったビールをたらふく飲んだせいだろう。運転手に聞くとトイレなどないという。当の本人、一度はホテルまで我慢すると言ったがその距離/時間が分からない。立ちションは当然のごとく禁止。日本でも同じである。ここはイスラム圏。イスラムの罰則は厳しい。重刑は斬首、窃盗でも手首を切り落とされるという。しかも公開処刑。立ちションだと なにを切り落とされるのか!?  公開処刑で!? (笑)

 

 笑っている場合ではない。そうこうしているうちに、あぁ もう限界! どこでもいいから止めてと言い出した。運転手も困っている。停車すらいけないのだ。道路脇は見通しのいい砂漠。が、ちょっと先に小さな建物がパラパラと見え出した。運転手があの建物の影でと車を止めた。幸い街灯はほとんどなく暗い。

 

 すっきりとした顔で同行者が車に戻って来た。下が砂地やから流れることなくよぉしみ込むわと言いながら。

 

第204話 イスラム圏

モスク調の現代建築!? UAE ドバイ

 

[2009年10月 UAE ドバイ]

 

 入国審査所で順番を待つ。ここも広い! 天井も高くまるで体育館にいるようだ。窓口の数は通常5-6ヶ所くらいだが、優に10ヶ所を超えているだろう。そして、その窓口に座っている審査官がすべて男性であのアラブの白い民族衣装に身を包んでいる。もちろんみんな髭をたくわえている。異様な光景だ。

 

 イスラム圏、女性は基本的に大衆の中に出たり仕事をすることはできない。男性は成人の印として髭を蓄える。イスラム教徒の友人はいるが、どっぷりとその圏内に入るのは初めてだ。

 

 アルコール類も当然禁止ではあるが、これだけ海外から観光客や移住者が増えると少しずつ緩和されてはいるようだ。いや、違法ではあるが黙認されているのだろう。高層ビルの上階にあるレストランでは普通にジョッキに入れてビールを提供しているが、一階にあるレストランではビールを頼むとヤカンに入って出て来た。まるでお茶を飲むようにそれを小さなコップに入れて飲む。これは警察官が入って来た時にすぐにビールだと分からないようにしているのだとのこと。もうみんな分かっているはずだ(笑)

 

第203話 成金趣味

金市場 (左)と、野生のラクダと砂漠の中の高層ビル (右), UAE ドバイ

 

[2009年10月 アラブ首長国連邦, ドバイ]

 

 2009年10月、アラブ首長国連邦 (UAE)のドバイ (Dubai)国際空港に降り立った。初めて中東へ足を踏み入れる。ガーナへ行く時にはここで乗り継ぎをしているが、入国するのは初めてだ。ドバイは、元々漁業の町であったが石油が出たことで一躍世界の主要都市の仲間入りをした。今や富豪の住む街と変貌している。

 

 しかし、何かがおかしい。初めてこの空港へ降り立ったのはガーナへ行く時の乗り換え。まず空港の規模の大きさに驚いた。大き過ぎる。乗り換えの為 次の搭乗口まで歩くが遠い! かなりの距離を歩いたように思う。ターミナル内の通路の天井は高く、ヤシの木が並木のように植わっている。

 

 具体的に何かは分からないのだが、キラキラしているというのか、ここまで大きくしなくても… なのか 成金趣味に見えるというのが第一印象だ。貧乏人のひがみか?

 

第202話 OS氏 恐るべし

打ち合わせ終了 (後ろ青いシャツは OS氏の弟)

 

[2009年6月 ギニア  コナクリ]

 

 予定を終了し、ギニア出国の時がやってきた。今度こそすんなりと… そうは問屋が卸さない。荷物検査、航空会社カウンターでの搭乗手続きは問題なし。次は手荷物検査場へ。ここで時限爆弾のスイッチが入った。手荷物をベルトコンベヤーに乗せてX線検査。身体を調べるゲートも難なくパス。何もあるはずがないが。荷物を手に取り先へ進もうとしたその時、係官がチョット待てと言う。なに? 何もなかったでしょ?  moneyと言って不敵な笑みを浮かべる。きたか~!

 

 money?  for what (何の)?  ガーナではぬけぬけと昼飯代とぬかしよった。さてここは何と返してくるのかともはやゲーム感覚で待っていると、係官は手数料と返してきた。はぁ? 手数料? そんなもん今まで聞いたことがない。何の手数料や! こんなものは当然の手続きであって料金の発生するもんやない! お前らに渡す金は持ってない! 例によって押し問答。が、次の展開は例によってではなく初めてのことだった。2-3人に取り囲まれ無理やりジーンズのポケットに手を入れてきた。え~っ! これはヤバい! 大した額ではないがお札が数枚入っている。すべて取り上げられた。当然のごとく返せ返さないの言い合いが始まる。なかなか強情なヤツらだ。$10(千円弱)程度やし時間もないし、ベネズエラに次いで諦めかけたその時にあることが閃いた。

 

 分かった。但し、今抜き取った金額を見せろ。手数料を会社の経費として支払ったと S氏に報告しないといけない。と言った途端、ヤツらの顔色が変わった。S氏? … 男たちは顔を見合わせてもぞもぞとポケットに入れたお金を返して来た。そして一言、どうぞお通りください。今度はこちらが不敵な笑みを見せる番だ。そのあとヤツらを睨みつけてその場を後にした。

 

 OS氏の名前、 Oは言わずに Sだけを言った。お兄さんの文部大臣と思ったのだろう。日本を出る時に OS氏から金型を預かった。詳細を記載した書類を持っていないといけないのだが、彼は書類を送ってこなかった。こちらで書類を作る為に詳細を聞こうと、電話をすると大体のことは教えてくれたが、何かあったら Sと言えばいいからと笑っていた。そんなアホなと思ったが、ホンマや~!  OS 氏恐るべし。いや、お兄さんの方かな?(笑)

 

第201話 厳しい現実

道路脇でパンを売る女性 (ギニア コナクリ)

 

[2009年6月 ギニア コナクリ]

 

 失礼ながら、今までに訪れた中で最貧の地ギニア。街の中を見ているだけで貧富の差が歴然としている。豪邸の横にある空き地にいるみすぼらしい身なりの子供達。食事代わりだろうか数人で何かを分け合って食べている。広場があれば少年たちがサッカーをしている。しかし、全員が靴を履いているわけではない。

 

 道路脇では小さな子供でさえ 花やパン、野菜、果物、新聞、手作りの日用品らしきものなどを売り歩いている。背中に幼子を背負い頭に荷物を乗せている若い女性の売り子もいる。背中の子供もこれからこの厳しい社会で生きていかなければならない。前項のジャンベを演奏している若者や踊っている子供達は裕福?もしくは中流階級なのだろう。またも日本に生まれたことをありがたく思う時であった。

 

 サブサハラと言われる地域、特にギニア、マリ、ブルキナファソ等 西アフリカは世界の最貧地域と言われている。が、まだまだここ以上に厳しい所があるのも事実である。