tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第101話 北欧に夏が来た

コペンハーゲン、ニューハウン

 

[1997年6月 デンマーク  コペンハーゲン]

 

 6月、北欧に夏がやって来た。土曜日、この日は代理店の人と夕食を一緒にするまでは他に予定はない。ホテル近辺をうろついてみよう。どこへ行っても、ホテルの立地によるが、時間が空いても電車やバスであまり遠出をしないのが基本。歩いてゆっくりと街並みを見るのがいい。ホテルから海の方へ向かうとニューハウン (Nyhavn)という運河に出た。17-18世紀の明るい色鮮やかなタウンハウスが並ぶ。運河沿いには飲食店が並び、路上ではジャズバンドが演奏している。

 

 ちょっと休憩、ビールを片手に屋外のテーブルに座りバンドの演奏を聴く。6月とは言え北緯55度の運河沿い、じっとしていると少し肌寒い。ビールを飲んでいるからか? でも美味い () 見知らぬ土地でひとり、昼間から屋外でビールを飲み日本と違った雰囲気を楽しむ、この時間が好きだ。

 

 少し落ち着いたところで、もう一度街中へ戻りホテルとは逆の方へ歩いて行くと何やら賑やかになってきた。小学生から中学生くらいのブラスバンドがやって来る。すぐそばにあった公園に入り、演奏は止んだ。列を整え次の曲が始まる。聞き覚えのある曲だ。隣のスウェーデン出身のロックバンド“ヨーロッパ”のヒット曲ファイナル・カウントダウンだ。一応ハードロックとして分類されているが、子供達が演奏しているのが微笑ましかった。行進はせずに公園内での演奏だった。

 

 いい曲を聞かせもらい移動しようとすると、今度は公園の外の道路に派手な飾り付けをしたトラックが数台やって来た。今年卒業した大学生 (6月が卒業の季節)がこの車に乗って街中をパレードするのだ。荷台に何人もの卒業生が乗っている。

 

 まだ少し肌寒いが、冬が長い北欧の人にとって待ちに待った夏がやって来たことを喜び、みんなで祝うのだ。短い夏を思いっきり楽しむ為に。そして卒業生も一緒に祝ってもらう。そんなお祭りの日だった。一年に一度しかない貴重な行事に出くわしたのは幸運だった。