tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第133話 アマゾン川

アマゾン (イメージ 無料サイトより)

 

[1998年6月 ブラジル サンパウロ => ベネズエラ カラカス]

 

 サンパウロ発カラカス行きは、ヴァリグ・ブラジル (VARIG Brasil) 航空のボーイング747、ジャンボジェットである。轟音と共にサンパウロを離陸する。眼下に見えるのは真っ赤な大地。全仏オープンテニスのコートと同様ブラジルのテニスコートも赤土が多い理由が分かった。

 

 機内はガラガラ。747型機の機体中央部は横に 3-4-3 10人掛けであるが、自分の席の列には3人しかいない。それぞれのかたまりに1人ずつ。左の3人部分に座る。窓側であろうが、通路側へ行こうが自由だ。真ん中の4人部分に座った若い男性は肘掛を全部起こして、横になって寝ている。自分も寝たい気もするが、寝てはいけない。幸い窓側も自由に使えるのだからアマゾン川を見たい! 世界最大の流域面積を誇るアマゾン川、昼間の飛行だから天気さえよければその壮大な景色が見えると期待していた。

 

 アマゾン川まではまだしばらく時間がある。食事をしアルコールが入ると、旅の疲れも手伝っていつの間にか寝てしまっていた。あ〜っ、気がつくとあたりは薄暗く海が近くに見えている。機はすでにアマゾン川を遠くに通り越してカラカス空港近くまで来ており、着陸体制に入っているようだ。

しまった! 大失態。

 

第132話 ブラジル入国?

ビセンテ・ロペスの街角 アルゼンチン

 

[1998年6月 ブラジル  サンパウロ]

 

 乗客が少ない為、直前になって機体が小さなものに変更になり搭乗口も変更。こんなこともあるんやな。が、とりあえず無事にサンパウロに到着。友人はビジネスクラスの為先に降りたのだろう。到着後空港で会うことはなかった。

 

 初めての空港、案内表示に従って乗り継ぎ便の搭乗口へ向かう。長い通路をしばらく歩いたが、何か様子がおかしい。どこを見ても目指す搭乗口の表示がない。近くにいた男性職員に聞いてびっくり。この場所は既にブラジル国内だと。パスポートコントロールも通っていないのに そんなはずはないでしょっ!?

 

 パスポートとカラカスまでの搭乗券を見せてくれとのことで差し出した。彼は、しばらくここで待っていろと言い、パスポートと搭乗券を持ってどこかへ歩いて行った。待っている間にふと不安が頭をよぎる。彼は本当に空港職員なのか? パスポートと搭乗券を騙し取られて帰ってこないのではないか?

 

 10分ほど待たされただろうか。彼は戻って来た。安堵。搭乗口へ行くからついて来い。職員専用であろう厳重に閉ざされた扉を開錠し、外へ出る。建物脇の貨物車などが行き来する通路のそばを歩く。ジェット機のエンジンや車の排気ガスなどでムッとして暑い。

 

 ある扉の前に着くと暗証番号を入力し、扉を開けて建物内に入る。階段を上がるとそこは見慣れた空港施設内の通路。まばらではあるが 一般の人が往来している。足が止まり、ここだと彼が言う。そこにはカラカス行きの搭乗口があった。ありがとう、これで無事にカラカスへ行ける。彼を疑ったことを後悔した。

 

第131話 空港での再会

アルゼンチン タンゴ発祥の地 カミニートブエノスアイレス

 

[1998年6月 アルゼンチン  ブエノスアイレス]

 

 早朝の便でブエノスアイレスからブラジルのサンパウロ経由でヴェネズエラのカラカスへ向かおうと、エセイサ国際空港の待合室にいた。と、誰かが自分の名前を読んだ。明らかに日本人の呼び声だ。振り返ると、例の大学時代の友人が立っている。急に出張が決まり、サンパウロへ行くことになったそうだ。搭乗するのは同じ便。こんなこともあるんやな。が、先にも言ったように彼は大手有名企業の社員、座席はビジネスクラスだ。こっちはエコノミー (>_<)

 

 彼は、日本からブエノスアイレスへ来るのもビジネスクラス、しかもニューヨークで1回乗り継ぐだけの高価な便を利用するらしい。こっちはエコノミーで2回3回乗り換えてようやくたどり着く。空港だけでも、色々な国や土地へ行けるけど… ()

 

第130話 生態系破壊

レコレータ墓地 (富豪や著名人が眠る墓地) アルゼンチン ブエノスアイレス

 

[1998年5月 アルゼンチン  ブエノスアイレス]

 

 ホテルの部屋にアリがいた。お尻のあたりが少し赤っぽく日本では見ない種類だ。

 帰国後会社で仕事をしていると、何とこのアリが机の上にいるではないか!? アルゼンチンへ行ったのは5月末、季節は晩秋だ。暖かい場所を探してノートパソコンの中に忍び込んだのだろう。

 

 そして日本は初夏、のそのそと出てきたのだ。こうやって外来種が日本にやって来るのだな。毒性はない種類みたいだが、これが繁殖して生態系に影響を及ぼすことも考えられる。見かけたのは1匹のみ。かわいそうだが、昇天してもらった。

 

 今や簡単に世界を行き来できる時代。生態系を守る為に動植物の持ち込みを厳しく制限しているが、意図せずとも知らない間に人間、衣服、機械などにまぎれて侵入して来る。これは仕方のないことだろう。

 

 全てにおいて言えることだが、何かが良くなったとしても必ず新たな危険性が生まれる。良いことだけが生じることなどあり得ない。自分の持論である。

 

第129話 アルゼチン タンゴ

タンゴ レストラン Sabor a Tangoのパンフレット (ブエノスアイレス)

 

[1998年5月 アルゼンチン  ブエノスアイレス]

 

 月曜日は、代理店での打ち合わせで1日が過ぎた。夜は、食事をしながらアルゼンチンタンゴのショーを見せてくれた。本物はもちろんテレビでも真剣に見た記憶もないし、音楽もまともに聞いたことがない。タンゴといえば、大昔 (1970年頃?) に流行った“黒猫のタンゴ”くらいしか知らない。

 

 哀愁漂うバンドネオンの音色に乗って、時には力強く、時には艶かしく踊る男と女。2ヶ月前にはスペインでフラメンコを見せてもらった。ラテンを代表するダンスを短期間に二つも経験させてもらった。帰る時には歌手の方と話をする機会があった。有名なプロのタンゴ歌手らしい。

 

 前日に行った公園にはたくさんのストリートパフォーマーがいたが、その中に幼い姉弟のタンゴダンサーがいた。ご両親が踊った後に二人が踊るのだが、お姉ちゃんに振り回されるように踊る弟がかわいくて観衆の注目を浴びていた。今頃は立派なダンサーになっているだろうか。

 

第128話 大学時代の友人

ビセンテ・ロペス駅 アルゼンチン ブエノスアイレス

 

[1998年5月 アルゼンチン  ブエノスアイレス]

 

 土曜日にブエノスアイレスに到着したのには理由がある。大学時代に同じ学生寮で生活を共にした友人がいるからだ。大手有名企業に勤める彼は、この年の1月に駐在員としてこちらに赴任した。当時自分は欧州担当だったのだが、偶然にも4月に南米担当に変わり今5月末に出張となった。同じ学校で学んだ友人と異国の地で会いたい。日曜日に会えるように日程を調整した。

 

 日曜日の朝、彼がホテルへ来てくれた。Bienvenido (ようこそ)。笑顔でロビーへ入って来た。無事に入国できたか?と聞くので、税関での出来事を話した。やっぱりなと言う。日本人はカモにされてるんだよ。お前は絶対に金は払ってないよな。自分の性格をよく知っている()

 

 彼の事務所はホテルの近くで、毎日この前を通っていると言う。彼の運転で市内へ。前述の通り日本では通用しない運転マナー、かなり慣れたが最初は怖くて仕方がなかったと言っていた。

 

 有名観光地など特にどこへ行くこともなく、公園のフリーマーケットや喫茶店で時間を過ごし、夕食は彼の自宅で奥さんの手料理をご馳走になった。彼女も学生時代から知っていて、こんな遠いところで会うなんてねぇ〜 と話がはずんだ。懐かしい友人とその奥さんに会い、日本語で会話する。まるで日本にいるような感覚だった。

 

第127話 何車線?

ラ・プラタ川の日の出

 

[1998年5月 アルゼンチン  ブエノスアイレス]

 

 マリアの運転でホテルへ送ってもらう。ブエノスアイレス市内へ向けて高速道路を走るのだが、何か変だ。車線の数と並走する車の台数が違う。もちろん白線が描いてあるのだが、お構いなしにこれを跨いで走る車の多いこと。3車線のところを4台が並んで走っている。これでよく隣とぶつかることなく走れるものだ。

 

 市内に入り、一般道へ降りる。前方の信号が赤になると、先頭には車線数以上の台数が並ぶ。少しでも隙間があるとそこへ入り込み、青になるとレースのスタートよろしく我れ先に発車する。右左折専用車線からでも平気で直進する。運転マナーが悪いと言われる大阪で十年以上運転しているが、ここで運転する自信はない…