tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第119話 アンデス山脈

アンデス山脈 チリ サンティアゴ

 

[1998年5月 チリ  サンティアゴ]

 

 昼食後事務所へ。社屋の東にはアンデス山脈が見えている。4−5,000m 級の山々が白く雪化粧している。標高520mに位置するサンティアゴは、海岸から100kmほど内陸の盆地にある。特に冬場は、スモッグや大気汚染がひどい。

 

 社長が、今日はアンデスが見えてラッキーだな。昨日雨が降ったお陰で汚れた空気が落とされたんだ。と言っていた。普段はあまり綺麗に見えないそうだ。

 

 事務所に直径40-50cmくらいの大きな地球儀が置いてある。チリと日本の場所を確認するが、両方を同時に見ることは出来ない。ほぼ反対側だ。自分が今日本からこんなに遠く離れた所にいるのが信じられない気分だ。しかし、遠く離れてはいるものの二つの国の間には太平洋しかない。

 ここは隣の国なのだ ()

 

第118話 南米初食事

チリ サンティアゴ

 

[1998年5月 チリ  サンティアゴ]

 

 昼頃ホテルのロビーで再会、レストランへ。どこへ連れて行ってくれるのかと楽しみにしていると、着いたところは寿司屋。あちゃー、初欧州 (フランス)に続いて また初めての地の初食事が日本食!?

 

 日本からの移住者が経営する“将軍”という店だった。日本人がやっているだけに美味い。チリの海岸線は、南北に連続した約6,400km。これは一国内で連続する海岸線としては世界一… ではないな。ロシアやカナダがあるか。ちなみに日本の海岸線は約29,700km。地球4分の3周だ。島国であり離島が多いからだ。しかし、これだけの海岸線を持つチリは漁業も盛んで、車海老は漁獲されたものの殆どは日本へ輸出されているそうだ。

 

 こういうところでの日本食は高いに違いない。普段食べることが出来ない高級料理を、来客をダシに会社の経費で食べているのだろうと邪推する ()。また、この代理店の社長は大の寿司好きで、来日時に寿司や刺身用の包丁が欲しいからと 専門店へ連れて行ったこともある。家には、すし桶や巻き簾などの道具もあると言う。

 

 美味しく頂いたが、せっかくの異国の地、次は日本食ではなく現地のものにしてください。

 

第117話 南米大陸初上陸

内務省の建物、チリ サンティアゴ

 

[1998年5月 チリ サンティアゴ]

 

 1998年5月、南米大陸初上陸。

初めての南米大陸は、チリのサンティアゴ。アルトゥーロ・メリノ・ベニテス国際空港(Aeropuerto Internacional Comodoro Arturo Merino Benítez)、通称 サンティアゴ国際空港に降り立った。

 

 チリ代理店からの迎えの車に乗せてもらいホテルに向かう。空港を出てすぐに高速道路を走るが、周りにこれといった建物がほとんどなく、低木の畑が延々と数キロメートル続く。南緯33度のサンティアゴの5月は、秋。この低木は収穫が終わったぶどうの木だと言う。そういえばチリはワインで有名だ。

 

 19世紀にフランスのぶどう栽培が害虫の大きな被害を受けた時に、純粋なフランスの苗木が守られたことによりチリワインの生産が始まったらしい。それに伴いフランスからの移住者も多い。そういえば、代理店の社長もフランス系だと言っていた。名前をみるとそうかなと思っていたが。高い建造物を建てることが出来ない空港の周りを畑として活用する。これは良案だ。いや、高い建物がないから空港が出来たのか? そんな話をしているうちにホテルに到着。午前9時頃だったか。着いたぁ〜、やっと横になれる。

 

 いやぁ〜  ほんとに長旅だった。関空を出発し、アメリカ本土の北西角シアトルに到着。ここから対角線に南東角にあるマイアミへ飛ぶ。これだけでも4時間ほどの飛行だ。大阪から香港くらいの距離/時間。そこで最後の乗り継ぎ、南へ向かう。今回のマイアミからの便は夜間飛行の為綺麗な青いカリブ海を見ることが出来ない。残念。そしてようやくたどり着いたチリ、サンティアゴ

 

 家を出てからホテルに到着するまで、何と! 36時間、1日半。関空からロスアンジェルスもしくはニューヨークへ飛び、サンティアゴ行きという経路もあり1回の乗り継ぎで済むが航空券が高い。これだと10時間近くは短縮できるかも知れない。安い券は色んな土地へ連れて行ってくれる()。時差の関係もあり、今は何日?何曜日?何時?ここはどこ?私は誰?状態だった。少し大げさだが、そんな感覚。担当者は、昼に迎えに来るからまずゆっくり休んでくれ。昼食の後 打ち合わせをしよう。と言って一旦会社へ戻って行った。

 

第116話 消えた喫煙席

展示会会場 (CeBIT) の中庭, ドイツ ハノーバー

 

[1998年3月 バルセロナ => 大阪]

 

 ”消えた”シリーズその3。ドイツ、スペインでの予定が終わり帰国の途に。長距離の便に搭乗する時は、通路側を確保したいのもあるが 少し早めに行って喫煙席を確保する。

 

 チェックインカウンターは空いている。喫煙席の確保は確実だろう。揚々と券を差し出し「通路側の喫煙席をお願いします」と告げる。すると、帰ってきた言葉に耳を疑った。「機内はすべて禁煙です」だと。日本からの往復便を取っていて、来る時は喫煙席だった。だから帰りも同じ条件のはずではないの?と問うと、2日前から当社の便は全て禁煙になりましたと。世界中で禁煙運動が進む中、建造物、公共交通等 徐々にその範囲は広がっている。とうとうその時が来たか。

 

 ヘビースモーカーではないが、この先十数時間のことを考えると、余計にたばこが欲しくなる。しかし、これはどうすることも出来ない。従う意外に方法はない。

 関西空港がとても遠かった。

 

第115話 消えたカバン

通りの壁に描かれた落書き (スペイン バルセロナ)

 

[1998年3月 スペイン  バルセロナ]

 

 翌日は社長と昼食を一緒に取り、午後から打ち合わせをする予定になっていたので、午前中は寝るつもりだった。が、朝9時頃の電話で起こされた。社長だ。何時に帰って来た? ちょっと部屋へ来てくれ。え〜、まだ早いやん。ブツブツ。

 

 部屋へ行くと、ワシのカバン知らんか?だと。はぁ?知らんがな。昨夜の夕食後部屋に戻ると、カバンがなかったらしい。一応警察に連絡したが、パスポートも無くなった為 日本大使館で再発行の手続きをしたり警察へ行ったりしないといけないので、午後の打ち合わせは中止になった。

 

 自由に過ごしてくれとの許可が出たが、一応午後5時には戻って来いと。市内をブラブラして5時に戻るとカバンが見つかったとのこと。ホテルの中庭に開いた状態で落ちていたらしい。紛失物なし。財布は入っておらず、仕事の資料とパスポートだけだった為 大きな被害は免れたらしい。

 

 で、事後処理等で警察へなぜか一緒に行く羽目に。ここでもまたまた驚きの光景、警察で10人くらいが被害届け提出の順番待ちをしている。ほとんどがスリの被害に合ったという観光客。どれだけ治安が悪いねん!

 

第114話 消えた午前2時

スペイン バルセロナ

 

[1998年 スペイン  バルセロナ]

 

 ビキニのお嬢さんの店には入らずに別の店で飲んだ。タダ見かい!? () 時計は既に午前1時を廻っている。午前2時に夏時間に変わるという。日本にはない瞬間をぜひ経験したい。150分を過ぎると店内のお客さんたちもざわつきだした。彼らにとっては年中行事なのだが、お祭り騒ぎをしたいのだろう。

 

 159分、カウントダウンが始まる。5, 4, 3, 2, 1, 次の瞬間午前2時ではなく3時になった。2時がない。こうして1時間時計を早めるのだ。日照時間の長い夏が欧州にやってきた。あちこちで乾杯の声が聞こえる。彼らは、夏の到来を喜び朝まで飲む。と言ってもまだ3月なのだが。まぁ理由は何でもいい。飲めればいいのだ () 覚えている時に時計を合わしておかないと、特に夜が明けて電車やバス、飛行機を利用するのであれば大変なことになる。

 

 クロアチアからの二人とこの後も飲み、ホテルに帰ったのは午前4時を過ぎていた。彼らは寝ないで早朝の便で帰国するそうだ。最初から徹夜することを決めており、それに付き合わされたのか!?   いや、いや、楽しかった。

     Have a good trip. See ya.

 

第113話 何かがお尻に

アメリカの方向を指さすコロンブス像 (バルセロナ港)

 

[1998年3月 スペイン  バルセロナ]

 

 二日間の会議は無事終了。最終日の夕食は、各々自由に取ってもらうことにした。会議を開催したホテルは、バルセロナ港の近くにある。この港はコロンブスアメリカ大陸を発見した時に出航したところで、アメリカの方向を指差すコロンブス銅像を据えた記念塔が建っている。

 

 水族館や海洋博物館などもあり、観光客も多数訪れる。その為レストランも数多くある。地中海の魚介類が売りで、店頭に水槽をおいている店が多い。ちょうど日本の寿司屋のようだ。が、中にいるのは伊勢海老や真っ青なカニなど日本ではあまり見かけないものが多い。

 

 どの店に入ろうかと歩いていると、ある店の屋外テーブルに代理店の何人かが既に座っている。俺を見つけて、おいで おいでと声をかけてくる。誘われるままそこに座ることに。英国の子会社の担当者、ドイツとクロアチアの代理店もいた。先述のようにスペインの夕食は始まりが遅い。既に午後10時頃になっていた。

 

 食事が終わり、アルコールも入りみんな上機嫌だ。このままホテルへ帰るはずがない。次の店を探す為に歩き出すが、通りの人混みがすごい。今日は特別な日だからだ。あと数時間で標準時間から夏時間に変わる。日本にはない習慣である。店側も色々と趣向を凝らして客を呼び込もうとしている。

 

 1件の店先のお立ち台の上で踊るビキニ姿の女性。我々も立ち止まってしばらく見ていた。と、お尻のあたりが何かおかしい。満員電車状態なので、通り過ぎる人が時々あたったりするのだが、それとは違う感触だ。スリに違いない。振り向くと若い男が立っている。何しとるんや!? と睨むと、男は (踊りを)見てるだけ と言うが明らかに挙動不審。

 

 隣にいたドイツの代理店の担当者が、後ろのポケットに財布を入れるなよと言ってくれるが、心配ご無用。大事なものはウェストポーチに入れてお腹の前になるよう腰に巻いている。スペインはスリや置き引きが多いので、要注意!