tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第75話 日本人ですか?

南アフリカ ヨハネスブルグの土産物店

 

[1996年10月 南アフリカ => 香港]

 

 初めてのアフリカ ミッション終了、帰国の途へ。往路と同じく香港経由だ。香港までは13時間、パナマへ行く時のように3人掛けの真ん中などになっては堪らない。早めにチェックインし、通路側を確保した。これで安心して香港まで帰れる。

 

 搭乗便はキャセイパシフィック航空、アジア系の為か搭乗客もアジア人が多い。と思っていたが、もう一つ理由があった。アジア系の乗客は台湾の人たちが多いらしい。というのも、南アフリカの沖合は遠洋マグロ漁業が盛んで、台湾や日本から漁船の乗組員やその家族が多く行き来している為らしい。船は現地にそのまま置いておき、人間だけが速い航空機で移動し交代するのだそうだ。

 

 搭乗時刻まで時間潰しに空港内をぶらつく。トイレに入る。しまった! 出てきたところで、失敗したことに気がついた。日本にはない有料トイレだった。手洗い場や出入り口に人がいて、チップを要求するのだ。香港などにもあり、その存在は知っていたが常に避けてきた()。入口に人がいたのには気づいていたが、掃除の人だと思っていた。人生初の有料トイレ。なんだかすごく損した気分。

 

 搭乗時刻になり、機内に入って自分の座席へ。が、… あんた誰? 30代くらいのアジア系女性が座っている。航空会社のダブルブッキングか!? ここは私の席ですよと言って搭乗券を見せる。相手は、自分の搭乗券を見せようとしない。勝手に座っているのだ。ここでまた問題発生。相手は中国系のようだ。英語も日本語も通じない。スチュワーデスを呼ぶ。当時はまだ客室乗務員やキャビンアテンダントとは言っていなかった。

 

スチュワーデス: 彼女は団体客で、仲の良い友人と隣り合わせで座りたいからここに座ったと言っています。後ろの席をご用意しますのでそこへお掛け下さい。

 

俺: 後ろってどの席ですか?

 

ス: 4人掛けの通路から2番目の席です。

 

俺: NO! 通路側を取る為にわざわざ早めにチェックインしたのです。代わりの席を用意するなら通路側もしくは非常口のところの席にしてください。

 

ス: 探してみますので、とりあえず後ろの席 (4人掛けの内側)で掛けてお待ちください。

 

俺: それは順番がおかしいでしょ! この女を本来の席に座らせ、俺の席が準備できてからこの女をここに座らせるのが順序やないですか。

 

 女は動こうとしない。立ったままでしばらく待った。一旦座ってしまうとご用意できませんでしたとそのままになる可能性がある。立っている限り航空機は絶対に出発しない。しばらくして、元の席から2−3列後ろの通路側を用意され、そこに落ち着いた。

 

 無事(?) 離陸し、水平飛行に入ったところで飲み物が用意され始めた。先ほどのスチュワーデスが隣に止まり、窓側の人から注文を聞いている。胸につけている名札が目に入った。なに!?!? アルファベットで書かれていたが、紛れもなく日本姓だ。座席を占拠していた女性とは中国語、自分とは英語で話していたのでてっきり香港/中国/台湾系かと思っていた。彼女はまだこちらのことは分かっていない。先ほどと同じく英語で お飲み物は何に致しましょう? と聞いて来た。名札を見るところ 日本の方ですか? と日本語で言うと、相手もビックリして、お客様日本の方ですか?

二人で大笑いした。 

 

 先述のような問題が発生した時、日本人はしょうがないなと諦める/譲る? 人が多く 自分のようにここまで主張する者は少ないと聞く。だから日本人には見えなかったのかも知れない。

 

 機は穏やかな天候の中インド洋上空を順調に飛行を続けている。通路を挟んで隣に老夫婦らしき人たちが座っている。我々の会話を聞いて、このスチュワーデスが日本人と分かったからなのか少し訛りのある日本語で話している。それからしばらくするとこの女性が話しかけてきた。中国語で。何を言っているのか分からない。すみませんが、何をおっしゃっているのか分かりません。さっきは日本語で話していましたよね? と言うと、あなたは日本人ですか?と聞いたのよ、と日本語。だったら最初から日本語で言えよ。台湾人の親日家だった。台湾人は何でこんなにややこしいの?