tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第157話 塩の教会

塩の教会

 

[1999年9月 コロンビア  シパキラ]

 

 土曜日の午後、おもしろい所へ連れて行ってやると言って大学生の息子が車に乗せてくれる。街の中心部はそうでもないが、郊外へ行くとやはり道路事情は変わってくる。南米の他国同様に所々の舗装が剥がれ、大きなくぼみができている。それを避ける為に車は蛇行する。対向車がある時はしかたなく窪みにはまり、上下に大きくバウンドする。

 

 南米では車高の低いスポーツカーは売れないな。四輪駆動が実用的だ。パリ-ダカールラリーで優勝経験もある三菱パジェロも人気だが、残念ながらパジェロという名前は、というよりこのアルファベットの綴りでは販売できない。これをスペイン語読みすると○○○、南米ではご法度だ。テレビなら“ピー音”が入る。名前を変えて販売しているそうだ。

 

 エリック・クラプトンを聞きながら車はどんどん山の奥へと入って行く。車の通行量も少なくなり、道路脇は木々に覆われてきた。コロンビアは、コーヒーと麻薬で成り立っている国だ。代理店の社長が言っていた。ゲリラはこういう所に潜んでいる。そして通行人を襲うのだ。まさに現代の山賊だ。日本人らしき男が乗っていると目をつけられてはいないだろうな。少し不安がよぎったが、その不安もよそにボゴタから約50kmほど北にあるシパキラという街に無事到着。

 

 彼が見せたかったのは“塩の教会”。それは、塩鉱山の地下200m地点に掘られた洞窟内にあるカトリック教会だ。途中いくつもの礼拝堂があり、それらを抜けた先にあるのが大聖堂エリア。高さ22mの壁 (すべて塩)に刻まれた全長16mの巨大十字架がある。地下部にあるものとしては世界最大。すべて塩であり、人の手で掘られたものである。その壮大さ、荘厳さ、ライトアップされた幻想的な空間には圧倒された。普通に歩いていると岩のように見えるが、近寄ってみると少しキラキラしている。ガイドが、疑うなら岩肌を舐めてみれば分かるよと。なるほど、しょっぱかった。

 

 鍾乳洞観光のような感覚で見ていたが、あくまでも教会なので、ガイドの説明にはキリスト教に関する言葉が多く入る。正直よく分からなかった。