tokuchan-worldのブログ

外国ってこんなとこ〜

第158話 タクシー?

真っ青な カリブ海

 

[1999年9月 ベネズエラ  カラカス]

 

 ベネズエラ、カラカス空港。以前レストランのウェイターと大げんかしたところだ。いい印象はない。今回は乗り換えの為だけに利用することになった。ボゴタから深夜の到着、ホテルで一泊して翌朝にはトリニダード・トバゴへ向けて出発する。

 

 空港の到着ロビーに出ると“タクシー? タクシー?”と呼び込みの男が寄ってくる。こういうのは大概白タクだ。No, no, と追っ払っても付いてくる。無視して正規のタクシー乗り場に行くと、先ほどの男がいる。何やお前か!?  お互いを見て笑った。正規のタクシーなら待っていれば行くのに何を焦っている?

 

 ホテルまでの距離が分からない。いくら位かかるのだろう? 米ドルしかないけどいいか? と言うと、no problemとの返事。通貨が不安定な国では自国通貨より米ドルの方が有難がることが多い。受け取ってくれることは分かっていたが、あとで揉めないように念の為 確認しておく。ホテルの住所と名前を記したメモを見せて金額を聞く。英語でfifteen dollars (フィフティーン ダラーズ)と言っているのだろうが、よく分からない。分からないと言うと、スペイン語でquince (キンセ=15)と言うのでようやく理解できた。しかも何とこれから向かうホテルの名前が Quince Hotelだった。またまた二人で笑う。

 

 荷物をトランクに入れて車に乗り込むが、フロントガラスにヒビが入っている。走り出すとガタガタと音がする。大丈夫か? 乗り心地はお世辞にもいいとは言えない。時々片目で走っているタクシーもいる。日本では考えられない。高速道路を西へ向かう。海岸線に沿って走っているのであろうが、街灯はまるでなく真っ暗闇の中を疾走する。海と道路の間には木々が生い茂り海は見えない。運転手は英語が分からないのでお互い無言だ。悪いことを考えるとキリがないが、治安の悪い土地だけに余計なことを考えてしまう。まして日本人は金を持っていると思われいてどこへ行っても狙われやすい。幸か不幸か自分は金は持っていないが。

 

 道路の横はたくさんの木々。もし運転手が悪人で車をこの木立の中へ入れて、金を出せと言ったらどうする? 深夜0時近く、周りは真っ暗。車もほとんど通っていない。呼べど叫べど誰も来ない。携帯電話もない。やはり多少の不安はなきにしもあらず。そんなことを考えていると、車が木々の間の細い道へと入って行った。不安マックス! と、その先に海が見え、明かりが見えた。あれがホテルだよ。暗くて分からなかっただろうが、木々の間へ入って行った時には血の気が引いていたのではなかろうか。フロントガラスも割れることなく無事ホテルに到着。言われた通りquince dollars (15ドル)を払う。明日の朝 空港へ行くのなら迎えに来るよと行ってくれたが、ホテルで手配してもらうからとお断りした。往復分の料金を取られそうな気がしたからだ。

 

 翌朝、目が醒めると晴天。窓の外には真っ青なカリブ海が広がっていた。